家庭での緊張感と、会社での安らぎ
家庭では常に気を張り詰め、子どもたちの前では笑顔を絶やさないように努めていた。そんな中、会社での時間だけが、ほんの少しだけ ”自分らしくいられる場所” だった。お客様との何気ない会話や仕事に集中することで、心のバランスを保っていた。
夫の病気と新たな決意、子供の病気から…
ある日、子供がおたふく風邪にかかり、その看病をしていた夫も同じ病気を患い、入院することになった。
診断結果と将来への不安
入院中の診断で、夫は以前から感じていた身体のふらつきや指の震えを医師に伝えた。そして、精密検査の結果「脊髄小脳変性症」と診断された。初めて聞く病名に戸惑い、当時はインターネットも今ほど普及しておらず、情報を得る手段が限られていたため、ただただ不安が募った。
病名を伝えられたあと、医師からは「詳しく検査をした方がいい」と言われ、別の病院を診察や検査や入院の話も出た。
しかし夫は、精神的にもかなり疲れており、人と関わること自体が、すでに負担になっていたのかもしれない。
知らない場所、知らない人たち、そして次々に説明される現実…。それを受け止めるだけの心の余裕が、もう残っていなかったのだと思う。
だから私たちは、通院で検査を受ける道を選んだ。「治療のため」よりも、「夫の心を守るために」選んだ道だったのかもしれない。
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